くらしの窓口NEWS
相続財産中に土地や建物の不動産がある場合、
子供たちの共有で相続させることを考える方もいらっしゃると思います。
不動産の登記簿謄本を見ていると、
共有で相続をしているケースは思いのほか多いようです。
その理由としては、
「専門家にそうアドバイスをもらった」
「不動産以外の財産が少なくてバランスを考えると共有せざるを得なかった」
「不動産収入を子供たち全員に渡したかった」
など、様々な理由があります。
しかし、不動産の共有は、
特別な理由がある場合を除いては極力避けたほうが良いです。
私たちは不動産に強い専門家だからこそ、
声を大にして申し上げたいポイントです。
なぜならば、不動産を共有にすることで、
次のようなデメリットが発生するからです。
・共有者が1人でも反対すると、
不動産を「売れない」「建てられない」 「大規模修繕ができない」
という事態に陥る。
・相続を繰り返すたびに、
共有者がねずみ算式に増えていく。
特にきょうだいとの共有は避けたほうが無難です。
今はきょうだいとの仲が良く問題がなかったとしても、
長い人生で関係性も考え方も変わることがあります。
例えば、不動産を売って処分しようと思った時に、
共有者の1人が「売ることに反対」という立場をとれば、
その不動産は売ることができません。
不動産を売るためには共有者全員の合意が必要だからです。
同じように、不動産を建てる場合や、
外壁改修など大規模修繕をする際にも
「私は反対」という方が出てくると、それらは実現できずに、
不動産の管理運営に大きな支障が出てきます。
問題はそれだけにとどまりません。
共有者の持っている権利である「持ち分」は、相続財産です。
その持ち分はきょうだいの配偶者に、
子どもに、孫に枝分かれしながら相続していきます。
例えば、不動産の共有者であるきょうだい3人が、
それぞれ配偶者と子ども3人の家族であった場合、
共有者全員に相続が発生すると、
最大で12人の共有財産となります。
そのため、不動産を売る、建てる、修繕するためには、
12人全員の合意が必要となります。
その合意を取りつけるのは至難の業で
、話し合いがまとまらないことがほとんどです。
そうなると不動産を有効に活用することができないため、
不動産の実質的な価値が著しく低下してしまいます。
ポイント
共有によって活用が困難になってしまった不動産は、
「負動産」となってしまい、問題の解決には長い期間を要します。
状況によっては夫婦や親子で共有をしたほうがよい場合もありますが、
その場合でも持ち分の行き先を確実に遺言書で残すことや、
先の先まで見据えた対策が必要となります。
必ず専門家からのアドバイスを受けましょう。
共有は「狂憂」という当て字があるほど、
将来にたいして大きな問題を残すことがある分割方法であることを肝に銘じることです。