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「生前贈与」はとても大事な相続対策の一つです。
しかし、実際には、贈与の方法を間違っている人が多くいます。
その理由を紐解いていきます。
相続人、すなわち遺された家族が、
遺言や生命保険によって財産を受け取った時、
被相続人はすでにこの世にはいません。
しかし、生前贈与は、
その方が元気なうちに、財産だけでなく、
その思いまで笑って和気あいあいと伝えられる有意義な相続対策です。
しかし、生前贈与には、
2つの落とし穴があるので注意が必要です。
一つ目の落とし穴
勉強不足がゆえに、税務署に「贈与ではない」とみなされる
中途半端なやり方をしている人が多いということです。
贈与は「契約」です。
贈与者の「あげます」、
受贈者の「もらいます」
の両者の意思合致が必要です。
そのため、意志の合致があったことを
第三者にきちんと説明できなければ、
贈与ではなく、「一時的に預けただけ」とみなされます。
本人が「贈与になる」と思っていても、
私たち専門家が見ると「贈与になっていません」
というケースは数多くあります。
贈与にならない例
・おじいちゃんが所持する孫名義の通帳に、毎年お金を振り込んでいる。
・夫からもらった生活費の余りを、妻がヘソクリとして貯金している。
・生命保険を孫名義で契約し、おばあちゃんの口座から自動引き落とししており現在、契約中。
・投資信託を孫名義で契約し、購入資金はおじいちゃんが証券会社に振り込んでおり現在、契約中。
2つ目の落とし穴
贈与を「ビジネスの入り口」と考える業者が多いため、
そもそも「必要がない」や
「するべきではない」贈与をさせられてしまう点です。
例えば、扶養義務者(親・祖父母など)が
子や孫の生活費・教育費のために渡したお金には、
贈与税は、かかりません。
祖父母と孫にはお互いに扶養義務があります。
別居・同居は関係ありません。
孫の学費を祖父母が出してあげても贈与税は発生しないのです。
ここで疑問点を持つ方もいると思います。
もともと扶養義務のある親族の学費援助には贈与税がかからないのに、
なぜ、「教育資金贈与信託」という制度(時限立法)の申し込みが増えているのでしょうか?
それは、贈与の基本をきちんと理解していない人が多いからです。
教育資金贈与信託は、
一度信託をしてしまうと、お金は戻ってきません。
「相続税の節税をしながら、孫も喜ぶ・・・」
などの謳い文句には、くれぐれも注意してください。